「わり算はできていたのに、あまりが出た途端に手が止まってしまった」——小学3年生の子を持つ保護者の方から、そんな声をよく聞きます。3年生の算数は、かけ算・わり算に加えて分数や重さなど新しい概念が一気に増える時期。いわゆる「9歳の壁」の入り口とも言われ、つまずきやすいポイントが集中しているんですよね。
とくに「あまりのあるわり算」は、それまでの「割り切れるわり算」とは考え方が少し違うため、ここでつまずくお子さんが本当に多い単元です。この記事では、なぜつまずくのか、どう教えればいいのかを、実際の子育て経験も交えながら、できるだけ具体的にお伝えしていきます。
読み終わるころには、今日からお子さんと一緒に「あまりのあるわり算」に取り組めるようになっているはずです。なお、小3算数全体の学習範囲やつまずきやすいポイントについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
3年生の「わり算」でつまずくのはここ!あまりのあるわり算の全体像

3年生のわり算の単元は、まず「12÷3=4」のようにきれいに割り切れる計算から始まり、そのあとに「あまりのあるわり算」へと進みます。この2つは似ているようで、子どもにとっては別物に近い感覚なんですね。割り切れる計算は「九九をそのまま当てはめれば答えが出る」のに対して、あまりのあるわり算は「九九にぴったり合う数がない」という、ある意味で気持ちの悪い状態を受け入れる必要があるからです。
九九を使うふつうのわり算のおさらい
まずは基本のおさらいから。「24÷4」を考えるとき、私たちは「4のだんで24になるのはどこかな?」と、頭の中で九九を逆再生していますよね。
4×6=24なので、答えは6。わり算は「かけ算の逆」であるという感覚を、まずしっかり持てているかが土台になります。
うちの子も、わり算の単元に入った当初は「かけ算と別の計算」だと思い込んでいて、九九を使えばいいと気づくまでに少し時間がかかりました。「わり算はかけ算のうらがえし」という一言を繰り返し伝えるようにしたところ、急にすらすら解けるようになったのを覚えています。もしお子さんがわり算の入り口でつまずいているようなら、まずは九九がすぐに出てくるか、そこから確認してあげると良いかもしれませんね。
「あまりが出る」ってどういうこと?
では「あまり」とは何でしょうか。たとえば「27個のあめを4人で同じ数ずつ分けます。1人分は何個で、何個あまりますか?」という場面を考えてみましょう。
4人にどんどん配っていくと、1人6個ずつ配ったところで、あめは残り3個。この3個は、4人でこれ以上同じ数ずつ分けられない「余りもの」というわけです。
実際、我が家でもおやつのグミを兄弟で分けるときに「あれ、2個あまっちゃった」という場面がよくありました。そのたびに「これがあまりのあるわり算だね」と声をかけていたら、いつの間にか生活の中で自然と「あまり」の感覚がつかめていたようです。抽象的な数字だけで説明するより、身近なものを使うほうが、子どもにはずっと伝わりやすいのではないでしょうか。
あまりのあるわり算の解き方3ステップ(検算つき)
ここからは、実際の計算「27÷4」を例に、あまりのあるわり算を解く手順を3つのステップに分けてご紹介します。この3ステップさえ身につければ、どんな数字が来ても迷わず解けるようになります。
ステップ1 九九で「わられる数」に一番近い数を探す
まずは、わる数(この場合は4)の段の九九を順番に唱えながら、わられる数(27)を超えない範囲で、一番近い数を探します。4の段は4・8・12・16・20・24・28…と続きますが、27を超えない中で一番大きいのは24。ここが商のもとになります。
24は4×6なので、商(答えの本体)は「6」です。ここで大切なのは「27を超えてはいけない」というルール。
28(4×7)は27より大きいので使えません。この「超えない範囲で一番大きい数」という感覚が、あまりのあるわり算のいちばんのカギになります。
ステップ2 引き算であまりを出す
商のもとになった数(24)を、わられる数(27)から引き算します。27−24=3。この3が「あまり」です。
この引き算でつまずくお子さんは意外と少なくありません。九九は得意でも、繰り下がりのある引き算が不安な場合は、あまりの計算だけ別途、引き算の練習をはさんであげると安心です。
ステップ3 「あまり<わる数」になっているか確認する(検算)
最後に、必ず確認してほしいのが「あまりが、わる数より小さいかどうか」です。今回はあまりが3、わる数が4なので、3<4でOK。もしあまりのほうが大きくなっていたら、ステップ1で選んだ数がまだ小さすぎるというサインです。
さらに仕上げとして「わる数×商+あまり=わられる数」になるかを確かめる検算をすると完璧です。4×6+3=27。
元の数と一致すれば、その答えは合っていると自信を持てます。この検算の習慣は、あまりのあるわり算だけでなく、この先のどんな計算にも役立つので、ぜひ早いうちから身につけさせてあげたい習慣です。
子どもがよくやる間違い・つまずきパターンと対策

あまりのあるわり算でお子さんがつまずくときは、実はいくつかの決まったパターンがあります。まずは全体像を表で確認してみましょう。
| つまずきパターン | よくある原因 | おうちでの対策 |
|---|---|---|
| あまりがわる数より大きい | 商をひとつ小さい数で止めてしまう | 「あまり<わる数」になっているか毎回指差し確認 |
| 商を出す九九の段を間違える | わる数と似た段(4と7、6と8など)を混同 | わる数を声に出してから該当の段だけを唱える |
| 文章題であまりの扱いに迷う | 「あまりを切り上げる/切り捨てる」の判断基準がない | 実生活の場面(車の台数など)で一緒に考える |
あまりがわる数より大きくなってしまう
一番多いのが、このパターンです。「23÷5」を例にすると、5の段を「5・10・15」までしか進めずに止まってしまい、商を3、あまりを8としてしまうケースがよくあります。
実際、うちの子もこのタイプの間違いを繰り返していた時期がありました。「あまりが8個も残ってるのに、まだ配れるんじゃない?」と、あめを実際に並べて見せたところ、「あ、ほんとだ、もう1人分配れる!」と、目に見える形で納得してくれたんですよね。頭の中の数字だけで理解させようとせず、実物や図で見せてあげると、腑に落ちやすいのではないでしょうか。
商を出す九九の段を間違える
「45÷7」のように、わる数が7や8など後半の段になると、似た響きの段(6の段や8の段)とうっかり混同してしまうことがあります。正しくは7の段を使い、7×6=42が45に一番近い数なので、商は6、あまりは3(45−42=3)となります。
対策としては、計算を始める前に「わる数はいくつ?」「じゃあ何の段を使う?」と、口に出して確認させる一手間がとても効果的です。焦って計算を始めてしまう子ほど段を間違えやすいので、この「ひと呼吸置く」習慣だけで、ミスがぐっと減ることが多いですよ。
文章題で「あまりをどう扱うか」がわからない
計算自体はできても、文章題になると急に手が止まる——これもよくある壁です。たとえば「38個のあめを5人で同じ数ずつ分けると、1人分は何個で、あまりは何個ですか?」という問題なら、38÷5=7あまり3なので、答えは「1人7個で、3個あまる」とそのまま答えればOKです。
ところが「30人の子どもを、1台4人乗りの車で送迎します。車は何台必要ですか?」という問題になると話が変わります。30÷4=7あまり2ですが、あまった2人も車に乗せないといけないので、7台では足りず、答えは「8台」。あまりを切り捨てず、1台繰り上げる必要があるわけです。
この「あまりを切り上げるか、そのまま残すか、切り捨てるか」は、計算のルールというより「場面をイメージできるかどうか」の問題です。式だけを見て判断させるのではなく、「もし本当にその場にいたらどうする?」と問いかけてあげると、子どもなりに答えを見つけやすくなるかもしれませんね。
おうちでできる!あまりのあるわり算の練習法

おはじき・お菓子で「配る」体験をする
数字だけで理解するのが難しい子には、おはじきやビー玉、お菓子など、手で触れるものを使って「実際に配ってみる」体験がとても効果的です。我が家では、休日のおやつタイムに「このおせんべい、みんなで同じ数ずつ分けたらどうなる?」と、あえてぴったり割り切れない数を用意して、家族みんなで配ってみることがありました。
最後に手元に残った分を「これがあまりだね」と確認するだけで、教科書の説明よりずっとすんなり理解できたようです。遊びの延長として取り入れられるので、勉強という構え方をせずに済むのも良いところではないでしょうか。
毎日5問だけの反復トレーニング
あまりのあるわり算は、理屈がわかった後は「慣れ」が何より大切です。とはいえ、一度にたくさんのプリントをやらせようとすると、子どもも保護者も疲れてしまいますよね。おすすめは、1日5問だけを目安にした、無理のない反復トレーニングです。
うちでは「5問終わったら遊んでいいよ」というルールにしていたら、短時間でも毎日続けられ、気づけばあまりのあるわり算をほとんど間違えなくなっていました。継続は、才能よりも強い味方になってくれるのかもしれません。
こうした毎日コツコツ型の練習には、ちょうどいい難易度・分量の問題がまとまったプリントがあると本当に助かります。dorirun.com(ドリランプリント)では、学年ごとの学習プリントを無料でダウンロードできますので、あまりのあるわり算の練習にもぜひ活用してみてください。
よくある質問(Q&A)

Q. あまりが、わる数と同じ数になってしまいました。どうすればいいですか?
A. あまりがわる数と同じ、またはそれより大きい場合は、まだ商が小さすぎるサインです。たとえば「20÷5」であまりが5になってしまったら、あと1人分(5)を配れるということなので、商をもう1つ大きくして計算し直しましょう。「あまり<わる数」を必ず満たすまで見直す習慣をつけてあげてください。
Q. あまりのあるわり算の検算のやり方を教えてください。
A. 「わる数×商+あまり=わられる数」になっているかを確認するのが検算の基本です。たとえば27÷4=6あまり3なら、4×6+3=27となり、元の数と一致すれば正解です。この検算を習慣にしておくと、あまりのあるわり算だけでなく、今後習う筆算などのミスも早めに見つけられるようになりますよ。
Q. 文章題で、あまりを切り上げるか切り捨てるかの判断が苦手です。
A. 「その場面を実際にイメージできているか」がポイントです。あまりの扱い方は、場面によって次のように変わります。
- 人や乗り物など「あまった分も見捨てられないもの」が出てくる問題 → あまりを切り上げる
- 「配りきれなかった余りは、そのまま残る」だけの問題 → あまりをそのまま答える
式だけで判断させず、「もし自分がその場にいたら」と一緒に想像してみると、子どもも納得しやすいようです。
Q. 九九がまだ完璧に言えなくても、あまりのあるわり算の練習を進めて大丈夫ですか?
A. 九九があいまいなままだと、あまりのあるわり算でも段を間違えやすくなってしまいます。並行して進めても構いませんが、つまずきが多いと感じたら、あまりのあるわり算を少しお休みして、苦手な段の九九だけを集中的に復習する時間を作ってあげると、結果的に近道になることが多いです。
Q. おうちでの練習は、どのくらいの頻度でやればいいですか?
A. 長時間まとめてやるより、1日5問程度を毎日続けるほうが定着しやすいと感じています。学校の授業だけでは演習量が足りないことも多いので、寝る前や夕食後など、決まった時間に少しずつ取り組む習慣をつけてあげると、無理なく続けられるのではないでしょうか。
まとめ

あまりのあるわり算は、次の3つのステップさえ身につければ、決して難しいものではありません。
- ①九九で近い数を探す
- ②引き算であまりを出す
- ③あまりがわる数より小さいか検算する
つまずきの多くは「あまりがわる数より大きい」「段を間違える」「文章題でのあまりの扱い」のどれかに集中しているので、お子さんがどこで止まっているのかを見極めてあげることが、遠回りのようで一番の近道です。他の単元も含めた小3算数の全体像は、こちらの完全ガイドでまとめて確認できます。
わり算は、この先習う2桁のわり算の筆算など、より高度な計算の土台にもなる単元です。焦らず、おはじきやおやつを使った体験、そして毎日少しずつの反復練習を積み重ねていけば、着実に自分のものにしていけます。うちの子もそうでしたが、「わかった!」という瞬間が来れば、そこから先は驚くほどスムーズに伸びていくものですよ。
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