小学2年生の算数で、多くのお子さんと保護者の方が最初にぶつかる大きな壁――それが「たし算・ひき算の筆算」ではないでしょうか。うちの子も2年生になったばかりの頃、くり上がりのある計算になると急に手が止まってしまい、「さっきまでできてたのに、なんで急にわからなくなっちゃったの?」と親子でとまどった記憶があります。
筆算は、この先の算数・数学すべての土台になる大切な単元です。だからこそ「早く覚えさせなきゃ」と焦ってしまう保護者の方も多いのですが、実は焦りが一番の遠回りになることも少なくありません。この記事では、筆算でつまずきやすいポイントを整理しながら、親子で無理なく楽しく筆算をマスターしていくためのステップを、実際の子育て経験も交えてご紹介していきます。
小学2年生の算数全体の学習範囲や年間の学習の流れについては、以前の記事小2算数の学習範囲まるわかりガイドでも詳しくまとめていますので、筆算以外の単元も含めて全体像をつかみたい方はあわせてご覧いただければと思います。
なぜ「たし算・ひき算の筆算」でつまずく子が多いのか

筆算は小学2年生の算数の中でも、特に「手順」と「概念理解」の両方が求められる単元です。この二つがうまくかみ合わないと、子どもはどこかで必ずつまずいてしまいます。まずは、つまずきの原因を親としてしっかり把握しておきましょう。
位(くらい)の概念がまだ身についていない
筆算でつまずく原因として一番多いのが、「位(くらい)」という考え方がまだ実感としてつかめていないケースです。10がいくつ集まると次の位に上がるのか、一の位と十の位はどう違うのか――大人にとっては当たり前のことでも、子どもにとっては目に見えない抽象的な概念です。うちの子も最初は、十の位と一の位をごちゃまぜにして計算してしまい、答えの桁がずれてしまうことがよくありました。
くり上がり・くり下がりの操作でつまずく
位の概念がなんとなくわかっていても、実際に「くり上げる」「くり下げる」という操作になると、また新しい壁が出てきます。頭の中の計算(暗算)ではできていたのに、筆算という書き方のルールが加わることで混乱してしまう子も少なくありません。特にくり下がりのひき算は、上の位から借りてくるという操作が直感的にわかりにくく、多くのお子さんがつまずくポイントです。
筆算を始める前に押さえたい「位をそろえる」の基本

筆算のミスの多くは、実は計算そのものよりも「位をそろえる」というスタート地点でつまずいています。ここを丁寧に押さえておくだけで、その後の学習がぐっとスムーズになりますよ。
一の位・十の位・百の位の考え方
筆算を書くときは、必ず「一の位は一の位同士」「十の位は十の位同士」で縦にそろえて書く、というルールがあります。このルールを体に染み込ませるために、まずはブロックやおはじきなど、目に見えるもので「10個集まったら次の位」という感覚を実際に手を動かして体験させてあげると理解が早まります。
マス目ノートで位置感覚をつかむ
罫線だけのノートだと、どうしても数字の位置がずれてしまいがちです。マス目のあるノートを使い、1マスに1つの数字を書くルールにするだけで、位のずれによるケアレスミスがぐっと減ります。うちの子も、普通のノートからマス目ノートに切り替えた途端、位ズレのミスがほとんどなくなり、「なんだ、そういうことか」とすっきりした表情を見せてくれたのを覚えています。
つまずきやすいポイント別の攻略法

ここからは、筆算の中でも特につまずきやすい3つのパターンについて、具体的な対策を見ていきましょう。
くり上がりのあるたし算(2桁)
一の位の計算をして10以上になったら、十の位に1くり上げる――このルール自体はシンプルですが、「くり上げた1」をどこに書くか忘れてしまう子がとても多いです。対策としては、くり上げた数を書くための小さなマスを筆算の上に用意し、「くり上げメモ」として必ず書く習慣をつけることがおすすめです。くり上がりのたし算の考え方の基本をもう一度おさらいしたい場合はくり上がりのあるたしざんの記事も参考にしてみてください。まだ不安な方は、こちらの記事から見直してみるのもよいかもしれませんね。
くり下がりのあるひき算(2桁)
ひき算のくり下がりは、たし算のくり上がり以上につまずきやすいポイントです。「上の位から1借りてくる」という操作が感覚的につかみにくく、うちの子も最初は「10-3」のような計算をするときに、なぜ隣の位から借りてこなければいけないのかがピンときていませんでした。このときは、実際に10円玉と1円玉を使って「10円玉をくずして1円玉10枚にする」というイメージで説明したところ、急に納得した顔を見せてくれたことがあります。くり下がりのひき算の基本を丁寧に振り返りたい方はくり下がりのあるひきざんの記事もあわせてご覧いただくと理解が深まると思います。
3桁の筆算(百の位をまたぐ計算)
2桁の筆算に慣れてきたら、次は百の位を含む3桁の筆算に進みます。ここでつまずく子の多くは、位が増えたことで「どこにくり上げ・くり下げのメモを書けばいいのか」が分からなくなってしまうケースです。基本的な考え方は2桁の筆算と同じなので、焦らず1つずつの位を順番に処理していくことを繰り返し伝えてあげると、自然と桁数が増えても対応できるようになっていきます。
親子でできる筆算練習ステップガイド

筆算は、毎日少しずつでも継続して取り組むことで着実に力がついていく単元です。ここでは、おうちで実践しやすい練習ステップをご紹介します。
マス目ノートを使った書き方の練習
まずは正しい書き方の型を体に覚えさせることが第一歩です。マス目ノートを使い、位をそろえて書く練習を、計算の正確さよりも先に習慣づけましょう。
くり上がり・くり下がりのメモを書く習慣
くり上げ・くり下げの数字を毎回きちんとメモに書く習慣をつけることで、計算ミスが大きく減ります。慣れてくると暗算でできるようになりますが、慣れるまでは省略させないことが大切です。
毎日5分の「筆算タイム」の作り方
長時間の勉強はかえって集中力が続かず逆効果になることもあります。毎日5分だけ、決まった時間に筆算に取り組む「筆算タイム」を作るのがおすすめです。うちでは夕食前の5分間を筆算タイムにしていたのですが、短時間だからこそ子どもも「よし、やるぞ」と気持ちを切り替えやすく、無理なく習慣として続けることができました。
| ステップ | 内容 | 目安期間 |
|---|---|---|
| ステップ1 | マス目ノートで位をそろえて書く練習 | 1〜2週間 |
| ステップ2 | くり上がり・くり下がりのメモを書く練習 | 2〜3週間 |
| ステップ3 | 2桁の筆算を毎日5分繰り返す | 3〜4週間 |
| ステップ4 | 3桁の筆算にステップアップ | その後継続 |
おうちでのNG声かけ・OK声かけ

筆算の練習を続けるうえで、実は保護者の声かけがとても大きな影響を持っています。よかれと思った一言が、子どものやる気を削いでしまうこともあるので気をつけたいところです。
「なんでこんな簡単な問題を間違えるの」はNG
大人にとっては簡単に見える計算でも、子どもにとっては新しく学んでいる最中の難しい概念です。「なんでこんな簡単な問題を間違えるの」という言葉は、子どもの自信を傷つけ、算数そのものを嫌いにさせてしまうきっかけになりかねません。実はこれは私自身も一度言ってしまって反省した経験があり、それ以降は言葉選びに気をつけるようになりました。
できたところを具体的にほめる
「位がちゃんとそろえられたね」「くり上がりのメモをきちんと書けたね」など、結果だけでなく過程の中でできたことを具体的にほめてあげると、子どものやる気が長続きしやすくなります。小さな一歩でも認めてもらえることが、次に挑戦する力につながっていくのではないでしょうか。
| シーン | NGな声かけ | OKな声かけ |
|---|---|---|
| 間違えたとき | なんでこんな簡単な問題を間違えるの | ここまで合ってるよ、あと少しだね |
| 時間がかかるとき | 早くしなさい | じっくり考えられてるね |
| くり上がりを忘れたとき | また忘れたの | くり上げメモを書く練習をもう一回やってみようか |
筆算が身についたか確認するチェックリスト

お子さんの筆算の習熟度を確認したいときは、以下のチェックリストを活用してみてください。すべてにチェックがつけば、筆算の基本はしっかり身についていると考えてよいでしょう。
- 位をそろえてノートに書くことができる
- くり上がりのメモを忘れずに書ける
- くり下がりの計算で、上の位から借りる意味を説明できる
- 2桁の筆算を時間をかければ正確に解ける
- 3桁の筆算にも落ち着いて取り組める
- 間違えたときに、どこで間違えたか自分で見直せる
よくある質問(Q&A)

ここでは、筆算の練習を進める中で保護者の方からよく聞かれる質問にお答えします。
Q. くり上げメモを書き忘れて、よく間違えます。どう直せばいいですか?
A. くり上げメモを書く場所をあらかじめ決めておくと、書き忘れがぐっと減ります。筆算の十の位の真上に小さな四角を書いておき、「くり上がったら必ずこの四角に1と書く」というルールを親子で確認してから練習を始めてみてください。慣れないうちは、書き終わったあとに「メモ書いた?」と一声かけてあげるだけでも定着が早まりますよ。
Q. 暗算の方が得意なようで、筆算を書きたがりません。無理に書かせるべきですか?
A. 2桁までの簡単な計算であれば、暗算が得意なこと自体はすばらしいことなので無理に止める必要はありません。ただ、桁数が増えるにつれて暗算だけでは限界が来るので、「桁が大きい問題は筆算のほうが速くて正確だよ」と伝えながら、少しずつ筆算にも慣れさせてあげるとよいでしょう。うちの子も最初は面倒くさがっていましたが、3桁の計算で暗算だと間違えることが増えてきたタイミングで、自分から筆算を使うようになりました。
Q. くり下がりのひき算、答えは合っているのに毎回時間がかかります。このままで大丈夫ですか?
A. 正確に解けているのであれば、今の段階では心配しすぎなくて大丈夫です。くり下がりは大人が思う以上に頭の中で複雑な処理をしているので、時間がかかるのは自然なことです。まずは正確さを維持したまま、同じような問題を繰り返し練習することで、少しずつスピードは自然と上がっていきます。焦ってスピードを求めると、かえって計算ミスが増えてしまうこともあるので注意してくださいね。
Q. 3桁の筆算になると急に嫌がるようになりました。どう対応すればいいですか?
A. 桁数が増えると情報量が一気に増えるため、苦手意識が出やすいのは自然な反応です。いきなり3桁の問題を何問も解かせるのではなく、まずは2桁の筆算に百の位を1つ足しただけの簡単な問題から始めて、「2桁のときと考え方は同じだよ」と安心させてあげましょう。スモールステップで成功体験を積み重ねることで、抵抗感は少しずつなくなっていきます。
まとめ:筆算マスターへの近道は「位をそろえる習慣」

たし算・ひき算の筆算は、位をそろえて書く習慣と、くり上がり・くり下がりのメモを丁寧に残す習慣が身につくと、得意分野に近づいていきます。焦らず、毎日少しずつ、親子で一緒に取り組んでいくことが何より大切ではないでしょうか。
九九など、この先に控えている他の単元でつまずかないためにも、筆算の土台をここでしっかり固めておくと、後々の学習がぐっと楽になります。九九の学び方については九九がスッキリわかる記事でも詳しく紹介していますので、あわせて参考にしてみてくださいね。
dorirun.com(ドリランプリント)では、こうした筆算の練習に使える学年別の学習プリントを無料でダウンロードしていただけます。マス目ノート代わりのプリントを使えば、今日ご紹介した練習ステップもすぐに始められますので、ぜひ活用してみてください。
今日から少しずつ、親子で筆算タイムを始めてみませんか。小さな積み重ねが、お子さんの算数への自信につながっていくはずです。