わり算の筆算、特に2けたや3けたの数でわる問題が出てくると、多くのお子さんが「あれ、急にわからない…」と手が止まってしまうのではないでしょうか。
うちの子も、九九や1けたでわる筆算まではスラスラできていたのに、2けたでわる筆算に入ったとたん、鉛筆がぴたっと止まってしまった時期がありました。「仮の商」という初めての考え方に、頭が追いつかなかったのだと思います。
実はこの単元、小学4年生の算数の中でも特につまずきやすい「山場」のひとつと言われています。小4算数全体の学習範囲や、いわゆる「10歳の壁」との関係についてはこちらの記事でも詳しくお伝えしていますので、あわせてご覧いただければと思います。
この記事では、2けた・3けたの数でわる筆算のやり方を、仮の商の立て方から修正のコツ、よくある間違いの直し方まで、ステップごとにじっくり解説していきます。焦らず一つずつ、お子さんと一緒に確認していきましょう。
なお、この記事で扱う練習問題は、ドリランプリントの学年別プリントでも繰り返し練習することができます。
なぜ「わり算の筆算(2桁・3桁でわる)」でつまずく子が多いのか

1けたの数でわる筆算までは、九九さえ覚えていればほぼ迷わず商を立てることができます。
ところが2けた・3けたの数でわる筆算になると、「商をいくつにするか、まず予想してみる」という、それまでになかった新しい考え方が必要になります。ここでつまずくお子さんが本当に多いのです。
仮の商を立てて、違ったら修正する難しさ(2桁でわる)
2桁でわる筆算では、まず「だいたいこれくらいかな」という仮の商を立てます。
そして実際にかけ算をして、引き算をしてみて、うまくいかなければ商を立て直す。この「予想して、確かめて、間違っていたら直す」という一連の流れが、今までの算数にはなかった発想の転換なのです。
うちの子は最初、「一度立てた商を消して書き直す」ということ自体に抵抗があったようで、「間違えた」という感覚に落ち込んでしまうこともありました。でも実は、商を修正することは失敗ではなく、わり算の筆算では当たり前に起きる「正しい手順」なのだと伝えてあげることが、気持ちの面でとても大切だと感じています。
3桁でわる筆算になると、位が増えて迷子になる
3桁の数でわる筆算になると、扱う数字の桁数が増える分、どの位に商を立てればいいのか分からなくなってしまうお子さんが増えます。
考え方の基本は2桁でわる場合とまったく同じなのですが、扱う数字が大きくなることで「見た目の複雑さ」に圧倒されてしまうのですね。実際には、やっている作業(たてる・かける・ひく・おろす)は変わりません。ここを最初に伝えておくと、お子さんの心理的なハードルがぐっと下がるはずです。
筆算を始める前に押さえたい基本(たてる・かける・ひく・おろす)
2桁・3桁でわる筆算に進む前に、わり算の筆算の基本フォームを親子でおさらいしておきましょう。
わり算の筆算はどんな数でわる場合でも、次の4つの動作の繰り返しでできています。
- たてる(商を立てる)
- かける(商とわる数をかける)
- ひく(かけた結果を引く)
- おろす(次の位の数字をおろしてくる)
1桁でわる筆算のおさらい(4ステップの基本フォーム)
まずは1桁の数でわる、シンプルな例で確認してみましょう。84 ÷ 3 の筆算です。
「8を3でわると2、3×2=6、8-6=2、4をおろして24、24を3でわると8」という流れです。この4ステップの型が、これから習う2桁・3桁でわる筆算でもまったく同じように使われます。
もしこの1桁でわる筆算や、あまりのあるわり算の考え方に不安が残っている場合は、先にこちらの記事で復習しておくと、この先の内容がぐっと理解しやすくなります。
マス目ノートで位をそろえる感覚をつかむ
2桁・3桁でわる筆算でつまずく原因のひとつに、「数字の位がずれてしまう」ということがあります。
普通の罫線ノートだと、どうしても数字の間隔がまちまちになりがちです。マス目ノート(1マスに1文字書けるタイプ)を使うと、位をそろえて書く感覚が自然と身につきます。
うちの子の場合、罫線ノートで練習していたときは商をたてる位置がずれてしまい答えが合わないことが続いていましたが、マス目ノートに変えただけで、位のずれによるミスがかなり減りました。ちょっとした工夫ですが、効果は意外と大きいと感じています。
2桁でわる筆算 解き方ステップ(仮の商の立て方・修正のコツ)
ここからは、2桁の数でわる筆算のやり方を、82 ÷ 27 という例で一緒に見ていきましょう。この例は、仮の商が大きすぎて修正が必要になるパターンなので、コツをつかむのにぴったりです。
ステップ1 割る数を概数にして仮の商を立てる
27も82も、それぞれ一番大きい位の数字だけを見て、ざっくり見積もります。27の十の位「2」と、82の十の位「8」を使って、8 ÷ 2 = 4 と見積もってみましょう。
ステップ2 かけて引いて「実験」してみる
仮の商「4」が本当に正しいか、27 × 4 を計算して確かめてみます。これはいわば「実験」です。うまくいかなくても失敗ではありません。
108は、わられる数の82より大きくなってしまいました。これでは引き算ができません。つまり、仮の商「4」は大きすぎたということが分かります。
ステップ3 大きすぎたら商を1つ減らして再チャレンジ
商を1つ減らして「3」にして、もう一度27 × 3を試してみます。27 × 3 = 81。今度は82より小さいので、引き算ができますね。
82 ÷ 27 = 3 あまり 1 という答えが出ました。うちの子はこの「大きすぎたら1減らす」というコツを覚えてから、修正すること自体を怖がらなくなり、むしろ「ちょっとしたパズルみたい」と楽しめるようになった印象があります。
3桁でわる筆算 解き方ステップ(位が増えても考え方は同じ)
3桁の数でわる筆算も、やることは2桁のときとまったく同じです。1584 ÷ 264 という例で見てみましょう。
ステップ1〜3 2桁の考え方を3桁に応用、位取りの注意点
まず、264の百の位「2」と、1584の上位2桁「15」を使って見積もります。15 ÷ 2 = 7、まずは仮の商を「7」としてみましょう。
1848は1584より大きいので、これも仮の商が大きすぎたパターンです。商を1つ減らして「6」で再チャレンジしてみます。
1584 ÷ 264 = 6、あまりなしで割り切れました。位取りで大切なのは、「商をどの位から立てるか」を先に確認することです。
わる数264(3桁)より、わられる数の最初の3桁「158」の方が小さいので、最初の位ではまだ商は立てられず、4桁目までを使って1つの商を立てることになります。ここを飛ばしてしまうと、商が1桁ずれてしまう典型的なミスにつながります。
子どもがよくやる間違い・つまずきパターンと対策

わり算の筆算でつまずくパターンには、ある程度共通したものがあります。まずは全体像を表で確認してみましょう。
| つまずきパターン | 具体例 | 対策 |
|---|---|---|
| 仮の商を大きく見積もりすぎる | 108 > 82 なのに気づかず引き算しようとする | 「大きい数から小さい数は引けない」ことを毎回声かけで確認する |
| 引き算(繰り下がり)でミスをする | 84-6 を 88 や 82 と間違える(繰り下がりを忘れて各位をそのまま引いてしまう) | 筆算の引き算だけを単独で反復練習する |
| 商をたてる位置を間違える | 商が1桁少なくなる、空位に0を書き忘れる | 商を立てる前に位の見積もりを声に出して確認する |
仮の商を大きく見積もりすぎる
見積もりの段階でうまくいかないことは、実はよくあることです。「一度で正解しなくていい、試してから直せばいい」という前提を、最初に親子で共有しておくと安心です。
引き算(繰り下がり)でミスをする
わり算の筆算でつまずいているように見えて、実は繰り下がりの引き算そのものが苦手というケースも少なくありません。例えば84-6のような繰り下がりのある引き算で、正しくは78になるところを、繰り下がりの処理をせずに各位をそのまま引いてしまい82としてしまったり、逆に十の位の処理を誤って88としてしまったりするケースがよく見られます。
うちの子も一時期、わり算の筆算で答えがずれるので原因を探ってみたら、単純に3桁の繰り下がり引き算でミスをしていただけ、ということがありました。わり算の練習の前に、繰り下がりの引き算だけを数問挟んであげると、原因の切り分けがしやすくなります。
商をたてる位置を間違える(商が1桁少なくなる/空位の処理)
わる数よりわられる数の一部が小さいときに、その位には商を立てられず「0」を補う必要があります。ここを見落とすと、商が本来より1桁少なくなってしまいます。
「その位で本当に商が立てられるか」を毎回一度立ち止まって確認するクセをつけると、このミスはぐっと減っていきます。
おうちでできる!わり算の筆算の練習法
わり算の筆算は、理屈が分かることと、実際に手が動かせるようになることの間に、意外と距離があります。ここからは、おうちでできる具体的な練習法をご紹介します。
マス目ノートで書き方の練習
先ほども触れましたが、マス目ノートで位をそろえて書く練習は、地味に見えて効果の大きい方法です。
最初のうちは答え合わせよりも、「位がそろっているか」だけをチェックしてあげるのもおすすめです。位さえそろっていれば、計算ミスの原因も見つけやすくなります。
毎日5問の反復トレーニング
わり算の筆算は、一度にたくさんの問題を解くより、毎日少しずつ継続する方が定着しやすい単元だと感じています。1日5問程度を目安に、無理のない範囲で続けてみましょう。
ドリランプリントでは、小学4年生の算数に対応した学年別の学習プリントを無料でダウンロードできます。同じ単元の問題を何度も繰り返し練習したいときにも、印刷してすぐに使えるので、我が家でも毎朝の学習タイムに活用しています。
おうちでのNG声かけ・OK声かけ

わり算の筆算は、間違えることが前提の単元です。声かけひとつで、お子さんのやる気は大きく変わります。
| NG声かけ | OK声かけ |
|---|---|
| 「なんでこんな簡単なのが分からないの?」 | 「その仮の商、試してみよう。違ったら直せば大丈夫だよ」 |
| 「また消しゴムで消してるの?」 | 「一回で正解しなくていいんだよ、それがわり算の筆算だからね」 |
| 「早く次の問題やって」 | 「今の解き方、どこで詰まった?一緒に確認してみようか」 |
| 「前も同じところ間違えたよね」 | 「このタイプの問題、コツをもう一度確認してみようか」 |
うちでは「間違えた」ではなく「試してみた」という言葉に置き換えるようにしてから、子どもが自分から筆算に取り組む姿勢が変わったように感じています。
筆算が身についたか確認するチェックリスト
次の項目がクリアできていれば、2桁・3桁でわる筆算の基本はしっかり身についていると考えてよいでしょう。
- たてる・かける・ひく・おろすの4ステップを声に出して説明できる
- 仮の商が大きすぎたとき、自分で1つ減らして直せる
- 3桁の繰り下がり引き算を筆算内でミスなくできる
- 商を立てられない位に「0」を正しく補える
- 2桁でわる問題と3桁でわる問題を、同じ手順で解けると理解している
- 答えが出たあと、検算(かけ算)で確かめる習慣がある
よくある質問(Q&A)

Q. 仮の商がいつも大きすぎる/小さすぎる場合は?
A. 見積もりに使う数字を、わる数・わられる数それぞれ1桁だけでなく2桁で見てみると精度が上がります。それでもずれる場合は、慣れの問題であることが多いので、同じタイプの問題を数多くこなすうちに感覚がつかめてきます。うちの子も最初は毎回のように大きすぎる商を立てていましたが、1〜2週間ほど練習を続けるうちに、自然と適切な仮の商を立てられるようになりました。
Q. 検算のやり方は?
A. 「わる数 × 商 + あまり = わられる数」になっているかを確認します。例えば82 ÷ 27 = 3あまり1なら、27 × 3 + 1 = 82となっているかをチェックします。この検算をセットで習慣化すると、計算ミスにも自分で気づけるようになります。
Q. 九九や1桁のわり算があいまいなまま進めても大丈夫?
A. あまりおすすめできません。2桁・3桁でわる筆算は、九九と1桁のわり算の土台の上に成り立っています。土台があいまいなまま進めると、どこでつまずいているのか分からなくなりがちです。心配な場合は、少し戻って基礎を固めてから取り組む方が、結果的に早く定着します。
Q. 3桁でわる筆算は小4で必須?
A. 多くの教科書では小4でここまで扱いますが、学校や教科書会社によって、扱う時期や問題の難易度に多少の差があります。「うちの学校ではまだやっていない」という場合も心配しすぎず、家庭学習で少しずつ先取りしておくと、後で慌てずに済むかもしれませんね。
まとめ

2桁・3桁の数でわる筆算は、小4算数の中でも特に大きな壁のひとつです。でも、やっていることは「たてる・かける・ひく・おろす」の繰り返しと、「仮の商を立てて、間違っていたら直す」というシンプルな作業の積み重ねにすぎません。
一度で正解しなくて当たり前、修正することがゴールへの正しい道のりなのだと、親子で共有しながら取り組んでみてください。
練習を積み重ねるには、繰り返し使えるプリント教材が便利です。ドリランプリントでは小学4年生の算数に対応した学習プリントを無料でダウンロードできますので、ぜひ日々の練習に役立ててみてください。小4算数の全単元をまとめて振り返りたい場合は、こちらの記事も参考にしてみてください。